Symposium 新藤座談会
変わり続けるものと、変わらないもの。
新藤 祐一
代表取締役
新藤 央貴
取締役
大正4年の創業時からずっと変わらずにある企業理念や流儀、そして、時代とともに変わり続けていく柔軟さで、百年を超える歴史を刻んできた新藤。4代目である新藤祐一と、息子で通販事業の発展に貢献してきた新藤央貴にこれまでを振り返り、また、未来に向けた想いを伺いました。
創業百年を超える伝統と、挑戦し続ける姿勢
−まず、新藤の創業からの話を聞かせてください。
1915年に曽祖父が創業し、祖母、父と続き、私で4代目になります。創業は八百屋で、食品事業を続けていく中で曽祖父が大阪に通って大問屋との取引が始まり、そこから酒類事業も確立していきました。そういうところからアサヒビールとの特約契約や全国有名酒造メーカーとの特約契約にもつなげ、戦争の最中を曽祖父と祖母で会社を継なぎ、3代目の父がさらに事業を拡大していきました。
−先代はどのように事業を広げられたのですか。
親父が「この辺りには肉屋がないから肉をやろう」と言い出して、精肉の取り扱いを始め、私も肉屋に修行に行って肉を捌くところからやったものです。他にも、旅館と一緒に連携し、山陰地方の松葉ガニと同じ種類のズワイガニを大量に仕入れ、カニの食べ放題を企画して人気を集めました。とてもアイデアが豊富で、商才のある人でしたね。食品に関しても、洋食用の香辛料や調味料、珍味など、なかなか手に入らないものを揃え、旅館やホテルのプロの料理人の裏方として、いい食材・食料品を提供してきました。
−長い歩みの中で、いろんな挑戦があったのですね。
創業時から時代に合わせて少しずつ事業は増えてきました。それまでのことをやめるのではなく、新たに積み上げてきたという感じです。柔軟に変化してこられたのは「なんでもやってみる」という、昔から会社が大切にしてきた精神があるからで、私も大切にしています。卸しだけでなく、自社ブランドを持とうと思い、レトルトカレーを開発したのもそう。カレーも調理場を作って、圧力釜を買い、自分で試作するところからでしたから。そのカレーを商品化する際、北栄町出身の漫画家・青山剛昌さんの「名探偵コナン」の出版プロダクションに直談判に行き、パテント使用の契約ができることになりました。この「名探偵コナン魅惑の鳥取牛カレー」がとても人気なんですよ。
父は本当になんでもやる人で、小売事業のショップの前には足湯があるんですが、それも自分で作ってしまった(笑)。でも、昔はずっとしんどそうな姿しか見ていなかったから、経営者の孤独というか。絶対社長にはならんぞと思っていました(笑)。そういう戦いをずっと続けてきたんだろうなと今は思いますね。