Symposium 新藤座談会
変わり続けるものと、変わらないもの。
新藤 祐一
代表取締役
新藤 央貴
取締役
大正4年の創業時からずっと変わらずにある企業理念や流儀、そして、時代とともに変わり続けていく柔軟さで、百年を超える歴史を刻んできた新藤。4代目である新藤祐一と、息子で通販事業の発展に貢献してきた新藤央貴にこれまでを振り返り、また、未来に向けた想いを伺いました。
社内制度の充実で、社員がより自主的に
−自動化だけでなく、社内制度も変わっていったとか。
そもそも会社の制度や仕事のやり方を変えなければいけないという思いはありましたが、自分だけでできることではなく、息子たちや社員みんなが育ってくれたおかげ。みんなで相談して変えていける素地ができたんです。就業規則や給与制度、それぞれのルールを一つずつ変え、自分たちで伸びていくという考え方にしていくことができ、入社歴に関わらず社員みんなで意見が言いやすい雰囲気を作れるようになってきました。親父から引き継いだときにはワンマン社長のスタイル(笑)。でも、それだと自分が隅から隅まで見渡せていないといけないが、そうではないやり方だと負担も減り、余裕を持って経営ができる。誰か一人じゃなく、みんなの目で見て、みんなで進んでいく。それが新藤のスタイルになっています。
−具体的にどのような制度がありますか。
まず、会社の課題を社員自らあげ、解決に向けて動いていく「SQサークル」を立ち上げました。最初は、私たち世代の幹部がメンバーとして始めてみて、それから一般の社員が参加してより現場から改善策を考えてもらうようにしています。そのほか、優秀社員表彰制度ができ、あとは目標管理シートを作りました。それまでは全社員が同じシートを使っていましたが、それぞれ部署や人は違うので、自ら一人一人が目標を立て、与えられたものではなく、主体的に考えて行動するようになってほしいと思い、作りました。仕事を通して、自分が何をしたいか、どうなりたいのかを、サポートしていきたいなと思っています。
−社内の雰囲気は変わりましたか。
とても生き生きと働いていますね。でも、昔からちゃんと人を大切にするとか、とにかく一生懸命進めてきましたが、今は本当にこの10年で変わってきました。今は部門ごとに夕礼をして、残った仕事を誰かだけがやるよりも、みんなで協力してやるようになりました。自分のことだけじゃなく、同僚のこと、会社全体のことを考えるようになったと思います。隣の人に思いやりを持って接する社内の雰囲気がある。こういう会社をずっと思い描いてきました。
−これから、さらにどのように未来を描いていますか。
事業としては、何をやってもいい、と思っているんです。今のお酒や食品に限らず、サービス業に転じてもいいかもしれないし、その時代に合わせてやりたいことをやればいい。でも、今まで代々大切にしてきた意志みたいものを大切にしたいです。それは、常に社員を大切にしましょう、人が宝であるということ。曲げてはいけないものをしっかり受け継いでいけば、どんな業種に転じてもこれから変化に対応してやっていけると思います。
あと、今働いている社員も、これから入社して一緒に働いてくれる人も、何かやりたい、成し遂げたい夢があれば、どんな形であれお手伝いしたいですね。その人が輝ける場所を作るのが僕たちの役目だと思っていますから。
この歳になっても挑戦を辞めていません。メーカーとして自分たち独自の商品を作っていきたいですし、通販でも流通の良いところに倉庫を置くだとか、もう少し戦略的に世界を見据えるようなことをしたいと夢を描いています。私も息子たちの年代の頃に、どこに行っても口癖のように「世界に羽ばたく」と言っていたんです。ほら、思いは言葉に変わり、言葉は現実になるというじゃないですか。私、そういうのを平気で信じているんです。これ行けるんじゃない、と思うことは、即座に実行に移していきたいですね。